バロン・ルヌアールのインタビュー

Flower Lady of Schangaï (146 x 114)

どのような素材をテーマにしていますか?

….海辺で枝や、イバラ、漂流物などを見つけてきます。それに木の幹なども見つけますが、後にそれがインスピレーションとなるのです。拡大写真も撮ります。拡大写真を私の絵の中に取り込むのです。コピーするのではなく、いったん私の心で思い描き、それらを補整していきます。自分が見てきたもの、たとえば 飛行機から見た景色などを記録しておきます。もちろん戦争当時のものもありますし、私の人生を通して見てきたものもあります。たとえば高度1万メートルからさまざまに撮影したアラスカの写真などです。何年も後に、私のキャンバスの中にそういった景色や、湖、川、谷などが再現されます。私は、河口や内海をよく描いてきました。「それら全てが表現するものは何か」と聞かれることがありますが、私は「自然だ」と答えています。実際には、私が描くものは、空間であり、時間であり、音楽であり、詩であり、風なのです。

作業はどのようにされますか?

…小さなフォーマットでアウトラインを作ることから始めます。紐の切れ端のような素材をよく使いますが、 それらは最終的な仕上がり時点で、構図にリズムをもたらしてくれます。アウトラインが出来上がると、色に取り掛かります。色は詩情や、音楽性、精神性を作りあげてくれるものです。色の作業は最も重要で、キ ャンバスに魂を与えてくれるものです。まず平面的に描いていきますが、多くの日本人画家と同じく、作業中に押し寄せる情感に従い色を重ねていきます。初めの2段階(ベース彩色段階)の上にこれらの情感を、 色で重ね合わせて表現していきます。キャンバスが乾いた時点でサンドペーパーを使い、隠れた下のクッシュを再び浮かび上がらせます。

The big chinese fish

日本との繋がりは?

日本では、15回ほど展覧会に参加しました。日本は「空(くう)の構成や禅のコンセプト」において、非常に大きな役割を果たしてくれます。祖父のポール・ルヌアールは何度も日本に行っています。東京国立美術館は祖父の版画と絵画を200点所蔵しています。ですから、日本で展覧会に参加するたびに、必ず祖父の作品を自分の作品と同時に展示しています。

また、ブルターニュとの繋がりは?

私のキャンバスの中には、さまざまな上空からの眺めや、同様にブルターニュの海辺の引潮や満ち潮が描かれていることに気づかれるでしょう。作品の中に私の人生があります。私がインスピレーションを受けたもの全て、私の中に息づいていたもの全て、そして今も私の中に息づいているもの、これら全てを見出すはずです。

Baron Renouard and his wife in Brittany, where each year Baron Renouard goes to paint, to be inspired and to relax