フランソワ・バロン・ルヌアールは、絵画だけではなく、モザイクやステンドグラス、タペストリーといった応用美術にも身を捧げた芸術家である。そして様々な国際展示やビエンナーレにおいて、芸術家たちのために、多くの責任を負いながら、実りある活動を続けた。ブルターニュ地方から日本にまで世界中を旅したことによって、ヌーヴェル・エコール・ド・パリの足跡を辿る、アンフォルメルな作品への着想を得る。彼の絵画作品は、詩的で、内的、そして同時に迷路のようで宇宙的な風景である。彩色の巧みなこの画家の手による、光や音楽に溢れた作品の数々は、自然体の人道主義から生まれた表現を使う、一人の人間であり画家であるルヌアールの、精神の豊かさと完全さを賛美している。

(リディア・アランブール著、In Fine出版『バロン・ルヌアール』より抜粋)